2009年10月06日

『池上彰のメディア・リテラシー入門』


池上彰のメディア・リテラシー入門

池上彰のメディア・リテラシー入門

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: オクムラ書店
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本





 今回は『池上彰のメディア・リテラシー入門』を取り上げます。著者の池上彰さんといえば、いわずと知れたNHKの「週刊子供ニュース」のお父さん役の人です。僕も昔はよく見ていました。図やおもちゃみたいな模型を用いながら、やさしい言葉で解説してくれるので、小中の僕でもとても楽しく時事問題を勉強することができました。その解説は大人にも定評があるようです。

 本書では、NHKで働いていた経験と記者としての豊富な知識をもとに、テレビや新聞といったメディアの流す情報を鵜呑みにしないためのメディアリテラシーの話から、業界の裏話まで、中高生でもわかるような平易な言葉で解説してくれています。メディアとしてテレビ、新聞、インターネットなどが取り上げられていました。中でも僕にとっては広告代理店やPR会社の存在を認識できたことが新鮮で、さすがだなぁと思いました。

 ブームや話題になっている出来事には必ずその仕掛け人(それが広告代理店やPR会社ですね)がいて、ブームの火付け役をしていることを知ると、流行に対してまた違った見方ができるようになりますよね。たしかに、商品、グルメや企業がコマーシャルで取り上げられるとCMなんだから良く言っているに決まっていると思ってしまいますが、PR会社がやるようにテレビ番組なんかで取り上げられると、そのまま信じ込んでしまうような気がします。第三者が言っていることだから、客観的で信用が置けるだろうと思っちゃうんですね。本書内では、これ以外にもPR会社が社会のいろいろな見えないところで活躍している様子が明かされています。

 メディアリテラシーを考えるにあたって、本書で貫かれている姿勢は次の二つにあるように感じました。

・すべては編集されており、制作者側の意図がある。このことを踏まえてメディアに接する。
・自分の思い込みを捨てて、視野を広く持って話題の裏側を読もう。

 一つ目に関して、テレビ局業界の視聴率競争が槍玉に挙げられていました。テレビ局がみんなに見てもらえるように頑張って、より品質の高い番組作りに励むのは結構なことですが、視聴率稼ぎに没頭しすぎて、本当に伝えるべきことが伝えられなくなっているんじゃないかと、思うときも多々あります。視聴率とメディアとしての意義…常に対立するというわけではありませんが、このどちらかをとらなきゃならないといった場面でのメディアのディレンマを改めて感じました。

 二つ目に関して、海外報道によって私たちが、海外に対する思い込みを持っている、といった内容が新鮮でした。確かに、中東やイランなんていうと少しいかがわしそうな地域に思えますが、そこにも私たちと同じ人間が住み、生活を営んでいるんですから、外国人が行けばテロに遭うとか、厳格なイスラーム教国で油断すると牢獄行き、とかいうのは過度な思い込みなのかもしれませんね。ニュースを見ているとイランや中国の人なんかは私たちとはまったく違った価値観や思考回路で生きているような報道がしばしば見られます。確かにそうした面もありますが、もう少し彼らに対して親しみの持てるような報道もできるはずです。そうした報道もあればもう少し国際社会を客観的に見られるようになると思います。

 本書はテレビや新聞にだまされないために知っておくべきことを裏話などを通して、幅広く紹介していますが、最終的には新聞を読む(さらに言うといろいろな新聞社の新聞を読み比べする)ことを勧めています。恐らく、それは広い意味で「知識をつけろ」っていうことなんだと思います。情報なんて全て疑ってかかるときりがありません。結局は、自分の頭の中に、自分はこうだと思える、知識に裏付けられた引き出しをより多くもつことが情報を見極める上では一番重要なのです。目下、僕はスタッフとして「情報リテラシー」をつけるための教材作りを進めていますが、こう考えると情報を鵜呑みにするなとか、こういう情報には気をつけろとかも大事ですが、結局は「情報リテラシー」をつけるために一番大事なのは「知識をつけろ」ってことなんですよね。勉強して、知識をつけるとおのずとこの人の言っていることはどうなの?とかこの人の言っていることのほうが共感できるとかって感じられるようになると思います。つまるところは、これが情報リテラシーなんじゃないでしょうか。こんな当たり前の結論に行き着いてしまう次第なのでした。

(written by masuda)
posted by ideamix at 17:46| 教材開発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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